形成外科とは主に体の表面にある疾患に対しての外科的な治療を行います。
すり傷や切り傷などの外傷、熱傷を早くきれいに治したり、ホクロや粉瘤といった皮膚にできた出来物(皮膚腫瘍)の外科的な切除を行い、機能の回復など生活の質の向上を目的としています。
「形成外科」は、整形外科や美容外科と混同されやすいのですが、一言で表すと
「皮膚を扱う外科」のことです。けが・やけどを治療する専門科でもあります。
切創
ガラスの破片や刃物で切った傷のことを言います。
深さによっては縫合した方が早くきれいに治ることもあります。
擦過傷
いわゆる擦り傷です。傷の中に砂などの異物が入り込んでいる場合が多いので、洗浄するなど異物を取り除く必要がある場合もあります。
挫創
表皮が剥脱され創縁は不規則に挫滅している状態です。
砂など異物が入り込んでいる場合が多く、感染を起こすこともあります。
刺創
針など、先端の尖っているものによる傷です。傷口が小さくても深いことが特徴です。
咬創
動物や人に咬まれた傷です。歯や口腔内の雑菌によって感染を起こすことが多く、十分な洗浄や抗生物質の投与が必要となります。
裂創
転倒したり、物にぶつかったりして皮膚が裂けるように切れる傷です。
頭皮、顔(目の周り、あご、額など)、膝などに受傷することが多いです。
熱湯やアイロン、ヘアアイロンのコテなどで受傷します。
やけどは深さによってⅠ度・Ⅱ度・Ⅲ度に分類されます。
Ⅰ度熱傷
表皮までの深さのやけどです。痛み・赤味・熱感を伴います。
水泡はできません。
Ⅱ度熱傷
やけどの深さによって浅達性Ⅱ度と深達性Ⅱ度に分けられます。
浅達性Ⅱ度:皮の浅層までの深さで、水疱・強い痛みを伴います。
治るまで1~2週間かかります。
深達性Ⅱ度:真皮の深層まで達するやけどです。治るまで3~4週間かかり、瘢痕や ケロイドを形成する場合があります。
Ⅲ度熱傷
脂肪や筋肉など皮下組織に達するやけどです。治るまでに1ヵ月以上かかることもあり、皮膚移植など手術が必要な場合があります。
瘢痕やケロイドを形成します。
深い傷(中でも肘・膝・肩など)の傷あと、また胸や腹部の手術のあとが、赤く盛り上がった傷あと(肥厚性瘢痕)として残りやすい傾向があります。また体質的に、胸や背中にできたちょっとした吹き出物やささいな傷が、拡大し赤く盛り上がるケロイドになることがあります。保存的治療(塗り薬や内服薬)が中心になります。
爪が湾曲するように巻いたり(巻き爪)、爪の端が変形し皮膚に深く陥入したり(陥入爪)した状態を言います。
多くは深爪など誤った爪の切り方が原因となります。時に感染を起こし歩行時に痛みを伴うことがあります。放置し悪化すると、爪と皮膚の間に肉芽腫と言う赤く出血しやすい盛り上がった組織が生じ、治りを妨げることがあります。保存的治療(塗り薬や内服薬)が中心になります。
皮膚にできる腫瘍には実にさまざまな種類があります。
ほとんどが良性のものですが、時に悪性のものもあります。
始めは平らで黒いだけのホクロも、年令と共に大きく盛り上がってきます。また黒くなくただ盛り上がっているだけのホクロもあります。
身体のどの部分にもできます。皮膚の割と浅いところに、さわるとコロコロと触れる球状の腫瘍です。少しずつ大きくなり、時に化膿してはれることもあります。
身体のどの部分にもできますが、比較的顔によくできます。表面がざらざらした、盛り上がったシミのような腫瘍です。
基本的に良性腫瘍の場合は、あまり気にならなければ無理に取る必要はありません。
ただ、比較的大きくて邪魔になったり、時々腫れるなどの症状が認められる場合は取ることを考えてもよいでしょう。また、悪性が疑われる場合、例えば急に大きくなってきた、よく出血するなどの症状があれば、取ってよく調べたほうが良い場合もあります。治療は手術して切除するのが基本です。
ほとんどが局所麻酔による簡単な手術ですみます。
腫瘍によっては、レーザー治療が可能なものや、液体窒素による凍結療法が効果的なこともあります。
ただ腫瘍を取るだけが手術ではありません。やはり、いかに確実に腫瘍を取って、いかに傷を最小限にし、目立たない傷にするかが問題です。傷を残さずに手術して腫瘍を取ることは現在の医学では不可能です。
必ず傷は残ります。しかし、 形成外科は、残る傷をより目立たなく、よりきれいにすることを基本に発展してきた医学です。形成外科的手技によって、残る傷をより目立たないものにするのは可能です。
当院のレーザー治療装置は、Qスイッチ付アレキサンドライトレーザーを採用しております。
このレーザーの特徴は、主に茶・黒・青の色素に反応し、これらの皮膚内の色素を破壊することによって治療するので、
特に老人性色素斑(しみ)、雀卵斑(そばかす)などの治療に適しています。