むくみとは、医学用語で浮腫(ふしゅ)と言います。体には非常に多くの細胞が存在しますが、この細胞と細胞の間に水分が通常よりも多く溜まった状態を細胞間浮腫と言い、この状態が広範囲におよぶとむくみになります。一般的なむくみは、毛細血管の多い皮下組織に起こるもので、毛細血管からしみ出た水分が細胞間に充満して生じます。夕方になると靴がきつくなる、すねを押すと指先の形にへこんでなかなか元に戻らない、朝起きるとまぶたが腫れぼったい、などはむくみの症状の一つです。
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1.運動不足とむくみ
心臓から送り出された血液は全身をめぐって再び心臓に戻ってきます。しかし体には第二の心臓という大切な臓器があります。それは筋肉です。もちろん筋肉は体を動かすためのものですが、収縮を繰り返すことで血液やリンパ液を送り出すポンプのような役割を果たします。ですから運動不足、すなわち筋肉をあまり動かさないでいると、血液やリンパ液の循環が悪くなり結果的にむくみを引き起こします。ずっと同じ姿勢でいる人(立ち仕事や座ったままのデスクワーク中心の人)にむくみが多いのはこのためです。
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2.月経前症候群とむくみ
月経前症候群の一症状としてむくみが起こります。これを月経前浮腫といいます。何故起こるか詳しくは解っていませんが、排卵後のホルモンの変化によって引き起こされる体内水分貯留作用のためと考えられています。月経前約2週間から起こり、月経開始とともに軽快していくものです。
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3.腎臓機能とむくみ
腎臓は体を流れる水分(血液やリンパ液)から老廃物をろ過し尿として外に排泄する役割と、体の水分量を一定に保つ作用があります。腎臓機能が低下するとこのような機能が障害され、不必要な老廃物をうまく外に出せなくなると同時に、体内から余分な水分を排泄できなくなりむくみにつながります。腎炎など腎臓そのものが原因で起こることもありますが、水分摂取が少なすぎて腎臓に負担をかけた結果として腎機能の低下につながることがあります。むくむからといって水分摂取を控えるのはむしろ逆効果です。
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4.ダイエットとむくみ
過度なダイエットにより、タンパク不足が原因でむくみが起こります。特に血中のアルブミンというタンパクが低下するとむくみにつながります。アルブミンは細胞間にあふれた水分量を血管に再び吸収させる手助けをする働きを担います。
むくみの対処法
適度な運動と、十分な水分の摂取、バランスの取れた食事が大切であることは理解頂けるでしょう。軽いむくみであれば、むくんだ部分をマッサージすると効果的です。特にふくらはぎのマッサージは下肢のむくみに有効です。それでも改善しない場合や、むくみが強く膝など関節の痛みを伴う場合などは治療の必要があるかも知れません。一度かかりつけの医師に相談すると良いでしょう。また、むくみの原因となる基礎疾患がなく症状がつらい場合、漢方薬が効果的なことがあります。東洋医学的にむくみは水毒の一種とされており、水毒を治す漢方薬が有効です。