現代社会はストレスと常に隣り合わせです。このストレス社会で生きていくために、ストレスがどんな影響を皮膚に及ぼすのか理解しておくのは大切なことです。ここではストレスと皮膚の関係について考えてみましょう。
ストレスとは何か
ストレスには大きく分けて2種類あります。
外的ストレス
過度の疲労や睡眠不足、ケガや熱傷、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染や細菌感染など身体上のもの。
内的ストレス
会社や学校、家庭内などにおける人間関係のトラブル、試験や受験、仕事上の悩みなど心的なもの。
以上のような状況下で、どんな変化が身体に起こり、どんな影響を皮膚に与えるのでしょうか
- 1.ミネラルやビタミンが不足する
ストレスの状況下では消化管からのミネラル(鉄分・亜鉛・カルシウム・マグネシウム等)の吸収が低下します。結果的にミネラルの不足が起こります。特に亜鉛(細胞分裂を行うのに必要です)が不足すると新陳代謝が悪くなり、皮膚の角質細胞の生まれ変わりが阻害され、肌荒れを起こします。またカルシウムの不足はイライラを起こすなど、結果的にストレスを増長します。
また、ストレスはビタミンを消費します。そのためビタミン不足状態に陥るのです。なめらかな健康な皮膚を保つのに必要なビタミン類(A・B2・B6・C等)も不足し、肌荒れが進行し、またニキビが増えたり、鼻の周りや耳が赤くなるなど脂漏性皮膚炎が起こったりします。 - 2.皮膚のバリアー機能を傷害する
ストレスは、皮膚のバリアー機能(乾燥を防ぎ外界からの刺激から皮膚を守る機能)を低下させます。肌荒れを助長するだけでなく、外的刺激物(汗・細菌・ハウスダストなど)の侵入を許し、時にアトピー性皮膚炎を悪化させてしまいます。 - 3.色素細胞が活性化する
ストレスは色素細胞(メラノサイト)の活動を活発にし、結果的にメラニン色素が増えシミを増やします。 - 4.免疫力が低下する・アレルギーを悪化させる
細菌やウイルスに対する抵抗力が低下します。口の周りに、水ぶくれ(口唇ヘルペス)ができたり帯状疱疹にかかったりします。またアレルギー症状を悪化させ、蕁麻疹を起こしたりアトピー性皮膚炎を悪化させたりします。
以上のようなことが起きたときに、塗り薬の外用や内服薬で治療は可能ですが、根本的な解決には自分の受けているストレスをしっかりと認識することが大切です。「自分はストレスと無縁だ」、「体力があるから大丈夫」などと思い込まずに、自分自身を見つめ直してみて下さい。ストレスは知らない間にあなたを蝕んでいるのです。