オメガ3脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の分類の一つで、炭素鎖のメチル末端から数えて3番目の炭素-炭素結合に初めて二重結合が現れる脂肪酸のことです。
代表的なオメガ3脂肪酸は、α-リノレン酸 (ALA)、エイコサペンタエン酸 (EPA)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)などです。
聞いたことがあると思います。特にDHAは脳細胞の活性化に関わる栄養素として有名です。
オメガ3脂肪酸は人の体内では生合成されません。食べ物からでしか摂取されません。
魚油に多く含まれます。ニシン、サバ、サケ、イワシ、タラ等の魚介類は、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)のようなオメガ3脂肪酸に富んでいます。菜種油にはオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸(ALA)が豊富に含まれているものも一部にあります。アブラナ(キャノーラ)、ダイズ、エゴマ、アマ、アサなどにも含まれています。
さて、このオメガ3脂肪酸の摂取と皮膚にはどのような関係があるのでしょうか。
リサーチしてみました。
京都大学における研究では、魚油に多く含まれるエイコサペンタエン酸 (EPA)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)を摂取すると、その代謝産物であるレゾルビンE1という物質が皮膚アレルギー反応で重要な働きを担う樹状細胞(抗原提示細胞といわれ皮膚においてはランゲルハンス細胞との名称で存在します)の機能を制御して、皮膚アレルギー反応に対し抑制効果を有すると報告しています。つまりアトピー性皮膚炎を抑制する効果があるようです。
さらに日本脂質栄養学会でのマウスを使った研究では、紫外線(UVB)によりダメージを受けた皮膚において、経表皮水分喪失量と角層水分量の回復を促す可能性が示唆されたと報告されています。つまり紫外線による皮膚ダメージによるバリア機能の低下を回復させる可能性があるとのです。
研究結果を実際の人の皮膚においても同様かどうかの判断はまだ尚早ですが、少なくともオメガ3脂肪酸の摂取は皮膚の健康維持に必要と思われます。
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<21/03/2025 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>