”オキシトシン”とは、脳の下方に存在する視床下部の神経分泌細胞で合成され、下垂体の後葉から分泌されるホルモンです。子宮の収縮を促進する作用があります。また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持ちます。このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤など、さまざまな用途で使用されています。
最初は女性に特有なホルモンとして発見されましたが、その後男性にも存在することが明らかになっています。
他方で、鎮痛、不安感の軽減、他者との共感・信頼感などに関係するとされ『幸せホルモン』や『愛情ホルモン』と呼ばれることもあります。
最近の研究で、このオキシトシンは、視床下部だけでなく皮膚においても産生されることが分かりました。
皮膚において産生される肌由来オキシトシンは、表皮の再生を促す作用を持ち、また心理的なストレスを感じたときに分泌されるストレスホルモン「コルチゾール」の作用を低下させ、肌細胞の老化を抑える効果があります。
さらに、皮膚の線維芽細胞にもオキシトシンの受容体がたくさんあり、そこにオキシトシンが結合するとコラーゲン産生を促進し弾力ある肌の維持に役立ちます。
このオキシトシンを増やすことは肌の健康維持につながり、特にバリア機能を高めお肌の老化を抑制することに役立つ可能性があります。
ではどのようにすればオキシトシンの分泌を増やすことができるのでしょうか。
いろいろリサーチすると、スキンシップが一番のようです。他者とのスキンシップに限らず、セルフタッチで十分のようです。自分の体を優しく撫でさするのが効果的とのこと。マッサージとは違って、ゆっくりとした速度で深い呼吸をしながら、触れた皮膚の感覚に意識を向けて心地よく刺激するのが重要です。いまいちピンときませんが、それほど難しいことではないのでやってみる価値はあると思われます。また自分の好きな香りをかいでリラックスするのもいいようです。心地よいにおい刺激でより多くのオキシトシンが分泌されます。
お肌を心地よくタッチして、自分の好きなにおいをかいで、日々のストレスを忘れ思いっきりリラックスして、オキシトシンを感じながらお肌の健康を維持するのも悪くないかも。。。
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<14/2/2025 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>