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院長ブログ

肌が乾燥するってどういうこと?

”自分は人より乾燥肌だ”とか、”冬になると肌が乾燥しがちになる”とか、”年を取ると余計に肌が乾燥する”とか、肌が乾燥するというのはどういう状態を指すのでしょうか。
皮膚科学的には基本中の基本ですが、改めて考えてみました。

お肌を組織学的にみると、最も表層は表皮、その下はお肌の弾力を維持する真皮です。さらに脂肪、筋肉と続きます。
表層にある表皮は4層構造で、下から基底層、有棘層、顆粒層、角質層と続きます。
一番下に位置する基底層には基底細胞という表皮の元になる細胞が存在し、これが分化(発展し変化していくこと・皮膚の場合角化と言います)してその上の有棘細胞、顆粒細胞、そして最終的には細胞核を失った角質細胞へと変化していきます。したがって表皮の表面は角質細胞の角質層となります。そして角質細胞は脱落し、さらに新しい角質細胞へとバトンタッチします。このような基底細胞の絶え間ない分化による表皮のリニューアルが常に起こっています。これを皮膚のターンオーバーと言います。ターンオーバーの周期は一般的には約4週間ですが、部位や年齢によって異なります。

皮膚に存在する主な付属器として汗腺と皮脂腺があります。皮脂腺は毛穴に存在し、分泌された皮脂は毛穴から皮膚表面に漏出し角質を覆います。これを皮脂膜と呼びます。皮脂膜は言わばお肌の天然のワックスのような存在で皮膚の水分の維持を担っています。しかも弱酸性で外界の細菌などの増殖を抑える効果を持ち、細菌感染から私たちを守っています。
さらに表皮の角質層には、天然保湿因子やセラミドに代表される角質細胞間脂質が角質間の隙間を満たし表皮角質層の潤いと形態を維持しています。
これらすべてが維持された状態が、健康的で理想的なお肌と言えます。つまり整然と皮膚の4層構造が形態的に維持され、さらに天然のワックスである皮脂膜に覆われ、天然保湿因子や角質細胞間脂質が水分の蒸散を防ぎ、さらに外界からの細菌やアレルゲンの侵入を防ぐのです。これをバリア機能とも言います。

さて肌が乾燥する、とはどういうことを指すのか。
皮脂膜、天然保湿因子、角質細胞間脂質など皮膚のバリア機能を担う物質が失われることで、皮膚内部の水分が失われさらに角質が剥離するなど傷ついた状態になることを指します。加齢、空気の乾燥、紫外線によるダメージ、過剰な摩擦、熱すぎる湯船温度、不健康な食生活、ストレスなど様々な原因で引き起こされます。
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<03/02/2025 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>