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院長ブログ

10月です。北海道は一気に秋から冬へ。漢方医学的風邪予防。

前回、秋の乾燥は五臓の肺の機能を低下させるので要注意、とお話しました。
この肺の機能について学ぶと、皮膚を含めて体調を損なったり風邪を引かずに秋・冬を乗り切るポイントが分かります。

肺は、五臓の一つである脾(食事を消化吸収し、気血水を作り出す臓腑)と共同し気を作り出します。すなわち、栄養を消化吸収することで脾が生み出した生きるためのエネルギーである気を全身に送り出し、口や鼻から呼吸することにより、体内の病気の原因となる気を排出し、自然界の清らかな空気を吸入します。そして、水分(血・水)や栄養分を様々な臓器・組織やとりわけ皮膚に運び、また余分な水分などを排泄する働きがあります。

肺が気(体を温め動かす生きるためのエネルギーのようなもの)や水分、栄養を全身に拡散させる作用を「宣発(せんぱつ)」と言います。これは、肌の潤いつやに関与し、体内のいらないものを汗や濁気(二酸化炭素など)として外に出し、外からの悪いものの侵入を防ぎます。
肺が外から空気を取り込み、それをきれいに浄化して、上から下へと降ろす作用があります。これを「粛降(しゅくこう)」と言います。これは、上焦にある(上に位置する)肺で浄化された気を、下焦にある(下に位置する)臓器に送る作用のことです。とりわけ腎に送って尿として排泄することは大切な生命活動です。

この宣発と粛降に支障が出ると、皮膚に栄養が行きわたらなくなりカサカサと乾燥し、水の排出が支障を来たし、顔や瞼のむくみに至ります。

「体は皮に合し、その華は毛にある」「肺は鼻に開く」とされています。
肺の機能が正常であれば、皮膚はしっとりしていて光沢をもっており、外邪(ウイルスなど)の侵入に対しても抵抗力があります。しかし肺から送られる気が少なくなったり滞ったりすると宣発と粛降が弱くなり、皮膚は荒れて乾燥し外邪の侵入をうけやすくなります。
五臓(肝・心・脾・肺・腎)の変調が現れる場所を華と言います。肺の華は毛です。毛は皮膚を守る働きがある部位とされ、肺が不調だと、皮膚を守る力が低下します。その結果、皮膚から寒さによる邪気などが入りやすくなり、風邪をひきやすくなります。
五臓がそれぞれ関わる感覚器を五官(ごかん)と呼びます。肺の官は鼻です。肺の状態は穴である鼻に現れます。肺が失調すると、鼻が乾燥したり、逆に鼻水で詰まったりします。

外邪(ウイルス、細菌など)は口・鼻・皮膚を通して侵入してきます。
インフルエンザやコロナなどの感冒にかからないようにするには、肺が不調に陥るのを避ける必要があります。
肺が冷えると、口や鼻の防御力が弱くなるので、肺を温める必要があります。つまり秋冬になって冷たい大気を吸わないようにすること、例えばマスクの使用です。体を温めることも大事で、薄着を避けることです。体を温める食材、生姜、ニンニク、ネギ、香辛料などの摂取も大切です。感冒など寒邪は首の後ろの「風門」と言われるツボから侵入すると言われています。寒いとゾクゾクするところです。ここを冷やさないこと、例えばマフラーなどの使用が有効です。
肺を守って秋冬を乗り切りましょう。
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<03/10/2024 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>