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芳香族炭化水素受容体(AHR)と皮膚の関係 皮膚の老化と AHR の関係

最近のトレンド「芳香族炭化水素受容体(AHR)と皮膚の関係」の続きです。

芳香族炭化水素受容体(AHR)は転写調節性因子の一つであり、様々な遺伝子の転写(遺伝子から酵素やホルモンなどのたんぱく質を産生すること)を促進します。
芳香族炭化水素受容体(AHR)はヒトの体内ほぼすべての臓器に存在・発現しており、特に肺や肝臓に多いことが分かっています。皮膚にも存在します。
皮膚と芳香族炭化水素受容体(AHR)の関係において、AHRは皮膚の老化(しみ・シワ、たるみ・くすみ)と関わっていることが分かってきました。

<「しみ」とAHRとの関係>
表皮の基底層(皮膚の表面を形成している表皮は4層構造になっており、一番下層を基底層と言います。基底層に存在する基底細胞はその形を変え有棘層、顆粒層、角質層へと移動して行きます)に存在する神経堤由来の細胞であるメラノサイトによって産生されるメラニン色素が、真皮に沈着することでシミが生じます。
このメラノサイトは、紫外線の刺激を受けることによってメラニン色素を産生します。つまり体質・肌質にもよりますが、紫外線を多く受けることでしみが生じるのです。
この反応に芳香族炭化水素受容体(AHR)が関わっています。すなわちAHRが、紫外線の刺激を受けたメラノサイトのメラニン色素の産生を活性化するのです。
さらに紫外線だけでなく、様々な環境因子もしみの形成に関わっていると考えられ、中でもタバコや大気汚染がシミの形成に関わっていることが明らかになっています。実際にタバコを吸う人は吸わない人よりもしみが多いようです。交通量の多い幹線道路近くに住む住民にシミができやすいという統計学的研究結果もあります。
タバコの煙からの抽出液によるメラノサイト培養細胞の活性化は、AHRを阻害するとここで抑えられることが分かっています。つまり芳香族炭化水素受容体(AHR)がメラノサイトによるメラニン色素の産生を活性化している可能性が示唆されているのです。

続く
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<05/05/2024 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>