7月は1年の中でも紫外線の多い時期です。
紫外線対策と言えば、海に行ったりキャンプに行ったりゴルフに行ったり、屋外でのアクティビティの時にするイメージです。
しかしながら紫外線は、散歩や通勤時にも肌に当たります。
さらに室内でも、屋外の70~80%の紫外線が入っています。
つまり常に紫外線が肌に注いでいます。
紫外線は身近な皮膚疾患、特に「脂漏性皮膚炎」や「酒さ」の悪化因子であります。
「脂漏性皮膚炎」は、過剰な皮脂が空気中の酸素によって酸化されて刺激になったりマラセチア菌が炎症の原因になったりして起こりますが、紫外線によって活性酸素が生じることによる酸化ストレスが炎症を悪化させることが分かっています。
「酒さ」は、原因不明の毛細血管の増殖と拡張による赤ら顔と毛穴の炎症による丘疹を特徴とする皮膚疾患です。
酒さには様々な悪化因子があります。
心的・身体的ストレス、刺激の強い食べ物やお酒、化粧品、ホルモンバランスなど多岐にわたっていますが、紫外線の暴露はかなりの悪化因子です。
酒さの方の病変部は血流が増えていることがわかっています。つまり血管の透過性が亢進しています。その結果赤ら顔になります。
血管透過性亢進を起こす原因の一つとして血管内皮増殖因子(VEGF)があります。
皮膚において紫外線の暴露は、血管内皮増殖因子(VEGF)を誘導することがわかっています。
つまり紫外線暴露により血管透過性が亢進し酒さが増悪するのです。
紫外線対策は、日焼けをしない、シミ・しわを作らないためだけが目的ではありません。
このように脂漏性皮膚炎や酒さの悪化を防ぐためにも必要なことです。
室内でも紫外線暴露は問題になります。
外出しなくても普段から紫外線対策は必要なのです。
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<12/07/2023 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>