「血の道症」をご存知でしょうか。聞いたことがあるかと思いますが、何のことかわかりにくいです。
「血の道症」とは、『月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および、頭痛、のぼせ、めまい、月経異常などの身体症状のこと』とされています。
「血の道症」とはその名の通り血と何らかの関係がありそうですよね。
ここで言う血とは、漢方の基本的な考え方である「気・血・水」のうちの血と関係が深いのです。気とは生命エネルギー、血とは血液、水とは血液以外の体液(リンパ液、唾液、髄液など)と考えます。
月経痛を例にとって考えてみます。
漢方には不通則痛(通じざれば則ち痛む)という考えがあります。これは、身体の中には気・血・水というエネルギーがあり、これらが常に体内を巡っていれば健康にな状態と言えるのですが、この流れが滞ることにより痛みが生じると捉える考え方です。
月経痛は、血と関係が深いことが知られています。血の流れを阻害するものは、気の流れを阻害する気滞であったり寒であったりすることもありますが、血の変性と滞りと言われる瘀血(おけつ)により生じる場合が多いとされています。月経時に何らかの原因で骨盤内に血液が滞る(瘀血)ことで月経痛が起こると言われています。月経痛はいわゆる「血の道症」の一つと考えて差し支えありません。
「血の道症」は、主に瘀血とそれに付随する気の異常(気滞)が原因とされています。
皮膚の症状に目を向けると、女性のアダルトニキビはこの瘀血と関係が深かったりします。月経異常(強い月経痛・月経不順)、冷え性、のぼせ、月経前症候群などいわゆる「血の道症」を伴う場合は、瘀血を改善する漢方薬(駆瘀血薬)が効果的な場合があります。
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<30/07/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>