アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、皮脂欠乏性湿疹など痒みがつらい皮膚疾患に悩まされている人は多くいます。
「特に夜に痒い」「痒くて目が覚める」「朝起きたら掻きまくって血が出ていた」と訴える方が多いです。
痒みが強く出る時間帯は、アトピー性皮膚炎では16時~深夜4時、蕁麻疹は20時~24時、皮脂欠乏性湿疹は16時~24時という統計があります。
何故夜に痒みが集中するのでしょうか。
①夜になると仕事や勉強、対人関係などが一段落して痒みに関心が集中してしまう。
昼間は、仕事や勉強に集中し夢中になっていたり、職場や学校での対人関係などに関心が集中したりしています。昼間は様々な事象で痒みに関心が向かわないのですが、夜になるとこれらが減って痒みへの関心が増加してしまうのです。言い換えれば、夜になると昼間忘れていた痒みを思い出してしまうのです。
②乾燥肌が原因の痒みが増す
仕事を終えて、学校から帰宅して、お風呂やシャワーに入ることが多いと思われます。シャンプーや石鹸による洗浄で肌は乾燥が進みます。乾燥肌による痒みが増します。またその後の着替えや寝具に入る刺激で余計痒くなります。さらに夕食により発汗が増し、余計に痒くなります。食事の際は、体内の熱産生量が増えて発汗します。晩酌すればなおさら。
③体温上昇で痒みが増す
入浴、食事、飲酒、そして布団に入ることで体温が上昇し、かゆみを伝達する神経の働きが活性化され痒みが増します。特に寝る時は副交感神経が優位な状態になり、皮膚温度が上昇して、かゆみが起こりやすくなります。
④ストレスを受けると痒くなる
昼間の仕事や人間関係などで過度なストレスを受けると、交感神経優位な状態が続き自律神経のバランスが崩れます。これはアレルギー症状の悪化を惹起しさらにヒスタミンなど痒みの原因物質が増加します。本来睡眠時は副交感神経優位となる必要があり、それがないと眠りが浅いなどの睡眠障害が起こり睡眠不足になります。睡眠不足で疲れが溜まりストレスの悪循環に陥ります。ストレスは痒みを誘発します。ストレスでリラックスできない夜は特に痒みが増します。
以上のような原因で夜に痒くなります。
夜の痒みを減らすには、乾燥肌を改善する保湿剤によるスキンケア、ストレスを軽減するためのリラックスできる環境作り(軽い運動や趣味の時間を増やす等)が有効です。痒みを軽減する抗アレルギー薬を普段から服用するなど積極的な治療も大切な選択肢です。
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<19/07/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>