「お肌の バリア機能 と スキンケア の関係 その②」の続きです。
C : 外来生物に由来する因子
皮膚に付着したヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニ(アレルゲンとなるダニ)や黄色ブドウ球菌、花粉などが有するプロテアーゼ活性(タンパク質の分解を促進する)は角質のバリア機能を傷害します。これらの外来因子暴露時にはタイプ2炎症が誘導されやすくなり、バリア機能の重要な担い手である角質細胞間脂質のセラミドの合成を低下させバリア機能をさらに低下させると考えられています。
D : 心的ストレス
心的なストレスにより、肌荒れが進んだりアレルギー症状(アトピー性皮膚炎や蕁麻疹)が悪化したりすることは日常的に見られます。一方で肌荒れやアトピー性皮膚炎に対する心的ストレスによる悪化の原因の一つにバリア機能の損傷が挙げられます。
心的ストレスにより、脳の底部にある進化的に古い領域である視床下部が反応して、下垂体と副腎皮質からのホルモン分泌が促進され内因性のステロイド産生が誘導されます。これにより角質細胞間脂質の合成が低下し、また層板顆粒(表皮の顆粒層に存在し角質細胞間脂質へ変化する脂質と酵素を含む)の分泌低下も加わり透過性バリア機能を障害するとされています。層板顆粒の分泌は他方で抗菌ペプチド分泌を低下させ抗菌バリア機能も低下させると考えらています。
E : 炎症
強い掻破による炎症や皮膚炎の悪化によりタイプ2炎症が進行すると、表皮角質細胞の分化(角質へと変化すること)関連蛋白、角質細胞間脂質であるセラミドの合成低下、抗菌ペプチドの低下を来し透過性バリア機能及び抗菌バリア機能を阻害します。
また皮膚の炎症は、細胞間接着装置の一つであるタイトジャンクションによる透過性バリア機能を低下させることが明らかになっています。
続く
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<22/06/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>