皮膚科的には「中毒疹」は比較的馴染みのある病名です。しかしながら一般的には理解が難しいのも現実です。
中毒と言えば、食中毒・薬物中毒・アルコール中毒などを思い浮かべます。これらと関連するのかと思われますが、あまり関係ありません。
中毒疹とは「対外あるいは体内における物質により引き起こされる反応性の皮疹」で、薬剤・ウイルス・細菌など様々な因子によって起こる急性発疹症の総称とされています。
原因が分かれば中毒疹とは言いません。例えば、特定の薬剤が原因であれば薬疹と呼ばれます。ウイルス性であればウイルス性発疹症であり、手足口病の発疹や風疹などがそれに当たります。溶連菌感染症など細菌感染でも発疹が見られます。
現実的には、特徴的・特異的な発疹であれば原因がある程度わかりますが、日常の診療ではよくわからない発疹が多いのも現実です。医者なのに分からないのか?と叱られそうですよね。
一般的には、ウイルス性の場合は末梢優位の皮疹の分布を取りやすく、薬剤性は躯幹の正中部に紅斑を認めることが多いとされています。当てはまらない例も多々あります。
問診や視診、経過の中から推測していきますが、それでも確定に至らないこともあります。このようなものを中毒疹と言います。
中毒の言葉のイメージで考えると理解しにくいのです。
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<21/03/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>