その3で述べたPCA反応(受動皮膚アナフィラキシー反応)を使って、「体内時計によるアレルギー反応の制御」について山梨大学大学院医学工学総合研究部免疫学講座で検討されています。
・・・・・・・・・・
主要な時計遺伝子(Per2)を変異させ”体内時計機能を消失させたマウス”と”野生型マウス”を使い、PCA反応を経時的にマウスの背中の皮下で起こし記録検討しています。
結果は、野生型マウス(体内時計を持つマウス)では、PCA反応は午前10時で高く午後10時で最も低い日内変動が認められました。
一方、遺伝子操作をして体内時計機能を消失させたマウスでは、どの時間帯でも同程度の反応を示すことがわかりました。つまりPCA反応の日内変動が失われていたのです。
この結果より、PCA反応の日内変動は時計遺伝子に制御されていることが示唆されたことになります。
・・・・・・・・・・
さらに、PCA反応と副腎由来内分泌因子(コルチゾールなど)の概日リズムに則した分泌との関連も検討されています。
遺伝子操作をして体内時計機能を消失させたマウスでは、コルチゾールなどの副腎由来内分泌因子の概日リズムに則した分泌が失われており、一方の野生型マウスでは日内変動を示すようです。
そこで、副腎を摘出し副腎由来内分泌因子(コルチゾールなど)を消失させたマウスを用いて検討すると、PCA反応は日内変動を示さなくなるようです。
さらに、中枢時計である視交叉上核(SCN)を物理的に破壊したマウスでは、コルチゾールなどの副腎由来内分泌因子産生の概日リズムが失われることが確認されています。
以上のことより、中枢時計である視交叉上核(SCN)からの指令で副腎由来内分泌因子の分泌が概日リズムを刻むように制御されていることがわかります。
・・・・・・・・・・
まとめると「アレルギー反応は副腎由来内分泌因子により制御され、さらにそれらは体内時計によって制御されている」可能性が示唆されたことになります。
続く。
・・・・・・・・・・
<10/08/2020 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>
体内時計と皮膚の関係 その4(皮膚科情報)