「線虫を使って、尿1滴でガンが体内にあるかどうか見分ける」と、原始的な生き物である線虫を医学の領域で利用する話があり以前の当ブログでも報告しました。
< 新たながん検診。体長1mmの線虫が、がんを見分ける。 >
今度は、「線虫の腸内微生物叢から、薬剤耐性菌に効果的な新しい抗生物質が発見された」という話が飛び込んできました。
線虫!すごいです。
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米ノースイースタン大学キム・ルイス教授の研究チームは、グラム陰性菌を選択的に死滅させる新たな抗生物質「ダロバクチン」を発見し、2019年11月20日、その研究成果を学術雑誌ネイチャーで発表しました。ダロバクチンは、土壌中の線虫の腸内に生息する共生細菌であるフォトラブダスから抽出した化合物とのことです。このダロバクチンは、グラム陰性菌に対して効果的な構造と作用機序を持ようで、グラム陰性菌を死滅させる効果があるとのことです。
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多剤耐性菌が多い中で、抗生物質が効かずに犠牲になる人が多いのは確かな事実です。
しかしながら、グラム陰性菌を死滅させるということは、必要以上に余計にグラム陰性菌を殺すということなので、使用する際の菌に対する選択性なり人体への毒性など、クリアーすべき問題点は多いような気がします。
この研究と結果の意義は、もっと他のことにあるようです。ルイス教授によれば、ヒトに役立つ可能性のある抗生物質が含まれた動物の微生物叢が見つかったのは、ダロバクチンが初めてで、薬剤耐性対策の研究に新たな道をひらくものとして期待が寄せられているとのことです。
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原始的な生き物である線虫は、太古の昔から地球上に存在するわけです。今まで滅びることなく現在に至るには、その生命を維持する仕組みにあるようです。それを人類が利用しない手立てはありません。
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<28/11/2019 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>
線虫から新たな抗生物質が発見される。