保湿剤は、作用機序からモイスチャライザーとエモリエントの2つに分類されます。
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モイスチャライザーに関しては前回説明しました。
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エモリエントとは、「肌から水分の蒸散を防いで肌の水分を保持し、間接的に角層の水分量を上昇させる製剤」を言います。エモリエントの中で、肌の表面を覆って水分の蒸散を抑制する成分を閉塞剤、あるいは密封剤といいます。白色ワセリンは代表的な閉塞剤の一つです。
塗布直後の角質水分量の増加効果はありませんが、白色ワセリンなどのエモリエントが皮膚の表面を覆うことによってその下の角層に徐々に水分が貯留することで角質水分量が増加します。
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エモリエントには、白色ワセリンの他に、白色ワセリンの不純物を除去して精製したプロペト、亜鉛華軟膏、ミネラルオイル、オリーブオイルなどがあります。これら単独でエモリエントとして使用されるもの以外にも、天然油脂、長鎖脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリン、リン脂質など化粧品や保湿化粧品にエモリエントとして配合されるものもあります。
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実際使用される保湿剤の多くは、閉塞剤となる油脂性成分を含む油相としてのエモリエント、ヒューメクタント、そして水分を含む水相が乳化された乳剤性の軟膏・クリーム・ローション・ゲル・フォームなどを基剤とした製剤です。
これら保湿剤による角質水分量の増加は、ヒューメクタントと水の作用により直接的に速やかに起こり、エモリエント(閉塞剤)の効果により持続的になります。
続く。。。
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<13/09/2019 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>