⑤カカオポリフェノールの免疫機能への効果
in vitro(培養細胞を使った実験)
体内に侵入した微生物等を貪食さらに融解し、情報を他の免疫細胞に抗原として提示し、免疫を獲得する過程に重要な役割を果たすマクロファージという細胞があります。マウスのマクロファージの培養細胞を使って、カカオポリフェノールがマクロファージの産生する免疫系タンパク質であるインターロイキン及び腫瘍壊死因子の産生に及ぼす影響を調べたとところ、有意に促進することが示されています。
また、マクロファージの微生物などに対する貪食作用を活性化する作用も認められたとのことです。
in vivo(生体での実験)
マウスにカカオポリフェノールを直接経口摂取させ、免疫系に及ぼす影響を調べるために血液やリンパ節を採取し抗体量を調べたところ、抗体産生に対する有意な影響は認められなかったとのことです。
以上のことから、培養系(in vitro)では、カカオポリフェノールが免疫機能に促進的に作用している可能性が示唆された半面、生態系(in vivo)では有意な効果は認められていません。現段階では、カカオポリフェノールの免疫に及ぼす促進的な効果は弱含みです。
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⑥カカオポリフェノールの抗アレルギー効果
血液の白血球の一種である好塩基球や肥満細胞(マスト細胞)は、アレルゲンに刺激されるとヒスタミンを放出し様々なアレルギー反応が惹起されます。これを脱顆粒と言います。
ラットの好塩基球細胞を用いて、抗原刺激による脱顆粒に及ぼすカカオポリフェノールの効果を調べたところ、カカオポリフェノールは有意に脱顆粒を抑制したとのことです。この結果より、アレルギー疾患の症状を抑制する可能性が示唆されています。
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まとめ
以上、5回に渡り、「チョコレートのカカオポリフェノールが気になる」として詳しくカカオポリフェノールの有益性を調べてきました。
実験によっては、データの量が不足している感が否定できず、さらなる研究が期待されるところです。いずれにしても食べ過ぎは良くありませんが、チョコレートは上手に摂取すれば大変健康に有益なことがわかりました。
ここで注意していただきたいのは、チョコレートなら何でもいいわけでなく、カカオの多く含まれたチョコレートでなくてはならないという点です。一般に安価で販売されているチョコレートの中には、カカオの代わりに直物油脂が使われているものもあります。カカオは高価なものなので、カカオが多く含まれたチョコレートは価格が高いです。おおよその目安として最低でも70%のカカオ入りのチョコレートが理想です。それ以上だと結構苦いです。
<29/03/2019 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>