当院では漢方薬を多く処方しますが、その際に色々な質問をして、その人の体質や心身の状態を把握しようとします。その折に、特に女性で貧血のある方が意外と多くいることに驚かされます。女性は月経、妊娠や出産など貧血になりやすい条件がそろっているのが原因です。
貧血があると、疲れやすい、息が切れる、立ちくらみなどの症状が現れやすくなります。もちろん過度の貧血はしっかり治療した方が良いのですが、そこまでではない場合は主に食べ物から鉄分を多く摂ることで改善が期待できます。
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微量ミネラルの一つである鉄分は、成人の体内に薬3~4g存在しています。そのうち約70%が血液中の赤血球に存在し、ヘモグロビンを構成して酸素と結合し、全身に酸素を供給しています。また約4%が筋肉に含まれ、ミオグロブリンという蛋白質の成分として、血液中の酸素を筋肉に取り込む役割を果たしています。これらは、酸素を取り込み利用するために機能する「機能鉄」と呼ばれます。
一方、肝臓、脾臓、骨髄などにも鉄分が多く含まれ、これらは先に述べた「機能鉄」が不足すると補う役割を担っています。これらを「貯蔵鉄」と言います。この「貯蔵鉄」が不足してくると「機能鉄」も少なくなり、鉄分が少ないことによる”鉄欠乏性貧血”になる恐れがあります。これによりヘモグロビンが減少し全身が酸素不足に陥りやすくなり、倦怠感、動悸、息切れ、めまい、立ちくらみなどの症状が現れやすくなるのです。
多くの鉄分を必要とする成長期、特に女性の場合は月経過多や子宮筋腫などで出血が多い時などに不足しがちです。過剰なダイエットや偏食などでも鉄分が不足することがあります。
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推奨される鉄分の一日摂取量は、成人男性で約7.5mg、成人女性で約10.5mgです。参考までに食材に含まれる鉄分量は、豚レバー100gに13.0mg、アサリ100gに3.8mg、小松菜100gに2.8mgなどです。鉄分は吸収率の低い栄養素ですが、その吸収をビタミンCが助けてくれます。”鉄分を多く含む食品とビタミンCを含む野菜や果物と組み合わせて摂取する”ことで吸収率が高くなります。
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貧血があると、肌に行きわたる酸素が不足がちになり、肌荒れの原因にもなります。お肌の健康にも鉄分は大切な栄養素と言えるでしょう。
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<19/01/2017 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>
酸素を全身に運ぶ鉄分、不足すると貧血に、肌にも悪影響