人体に無害な近赤外線を照射してがん細胞を消滅させる新しい治療法の開発が、世界の注目を集めています。
「近赤外光線免疫治療法」と言い、アメリカ国立がん研究所の小林久隆・主任研究員が開発し、実現に向けて目下研究中とのことです。臨床試験も順調に進み、2~3年後の実用化を目指しているようです。
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近年日本人のノーベル賞受賞が続いていますが、実現すれば文句なくノーベル賞ものです。
少し残念なのは、日本人の研究ですが、日本における研究ではなく、アメリカでの研究であることです。
さすがアメリカは基礎研究に資金を出し惜しまないだけあります。世界の基礎研究の論文はアメリカ発が圧倒的に多いという現実があります。日本人を含め世界中の優秀な研究者はアメリカに集まるのです。まあ人類のためなら、日本であろうがアメリカであろうが関係ない、と言えばその通りですが。
さてどんな治療なのでしょうか。
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がん細胞だけに特異的に結合する抗体を利用します。その抗体に、近赤外線によって化学反応を起こす物質(IR700)を付け、静脈注射で体内に入れます。抗体はがん細胞に届いて結合するので、そこに近赤外線の光を照射すると、化学反応を起こしてがん細胞を破壊します。IR700はフタロシアニンという色素で、波長700nmの近赤外線のエネルギーを吸収する性質を持っています。その化学反応で変化したIR700ががん細胞の膜にある抗体の結合したたんぱく質を変性させ、細胞膜の機能を失わせることによって1~2分という極めて短時間でがん細胞を破壊するのです。
がん以外の正常細胞にはこの抗体が結合することがないので、がん以外の部分には害はないようです。この治療は癌全体の8~9割に適応できるとの事です。また今まではきわめて困難だった転移がんにも治療可能との事です。
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画期的な治療です。一刻も早い実用化を願うばかりです。歴史を変える新しいがん治療法になると思います。
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<13/01/2017 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>
近赤外線で癌を消滅させる新しい治療法が実現に向けて目下研究中