「酒さ」とは、主に鼻唇溝(ほうれい線)及び口の周りから頬にかけて(時に眉間部や目の周り)が赤くなり、またニキビ様の丘疹が見られる慢性炎症を伴う炎症性皮膚疾患です。
赤みは毛細血管拡張からくるものです。丘疹はアクネ菌やデモデクス(顔の毛穴に存在するダニの一種)との関係が指摘されていますが、はっきりしていません。
原因は色々考えられていますが、不明なことが多いのが現実です。
最近の研究では、遺伝子が絡んでいることが明らかになって来ています。
メラニン色素産生に関わる遺伝子や炎症進行の連鎖に関わる遺伝子との関連性が指摘されています。
しかしながら遺伝的なものだけでなく、環境や生活習慣など複雑に絡んでいます。
診断も難しく、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、尋常性ざ瘡、花粉症皮膚炎、ステロイド皮膚炎、等との鑑別が困難なことが多いです。最近ではマスクが原因と思われる口の周りのニキビや接触性皮膚炎と非常に紛らわしいことがあります。
「酒さ」はなかなか完治は難しく、治療して改善しても良くなったり悪くなったりします。
その理由は、いろいろな悪化因子が存在するからです。
アルコールやカフェイン、辛いものなどの刺激物、
日光暴露、花粉、激しい運動
更年期などホルモンバランス、
精神的ストレス。
そして一番の悪化因子は、寒暖差や気候、特に冬場の寒冷刺激です。
冬場は乾燥しやすい時期でもあり余計に刺激が大きくなります。
ある程度改善して経過観察中の酒さの人が、ここ最近の寒波で再び悪化する事態を見受けます。
寒冷刺激だけでなく、寒さによって受ける身体的ストレスも要因ではないかと思われます。
まだまだ寒い日が続きます。「酒さ」だけでなく、アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹の悪化も寒さと連動することが多いのも事実です。
寒さにめげずにこの冬を乗り切りましょう。
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<31/01/2023 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>