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院長ブログ

お肌の 色素沈着 は何故起こる? 炎症後色素沈着について。 

赤いニキビが治った後、長引いた湿疹が治った後、やけどや擦り傷が治った後など、しばらく茶色くなることがあります。
これを色素沈着と言います。
新学期、新生活を向かえ「早くニキビ跡を消したい」等の要望を聞く機会が多くなりました。
そこでいろいろな色素沈着がありますが、炎症後の色素沈着について考察したいと思います。

何故色素沈着は起こるのか?どのような仕組みで起こるのか?
起きやすい人と、そうでもない人がいますが、色素沈着が起こる機序は同じです。

お肌には色素細胞(メラノサイト)という有害な紫外線からお肌を守ってくれる細胞がいます。
紫外線を感知すると色素細胞はメラノソームという小器官内でメラニン色素を作り出します。
このメラニン色素を含んだメラノソームを表皮角化細胞(お肌の細胞)に渡し(転送)、角化細胞の細胞核が紫外線の影響を受けることをブロックします。
この一連のメラノソームに関する流れは、皮膚に生じた炎症で活性化することが分かっています。
つまり紫外線の影響だけでなく、長引く炎症(ニキビ、湿疹、やけど、擦り傷等)でもメラニン色素が多く産生されるのです。
しかしながら通常であれば、お肌の生まれ変わりのサイクル(ターンオーバー)で徐々にメラノソームが皮膚の表面に押し上げられ排泄されるのですが、メラニン色素の産生が過剰であったりターンオーバーがうまく機能しないと色素が残ってしまいます。(表皮での色素沈着)
また何らかの理由で、色素細胞に問題が生じたり、メラノソームの表皮角化細胞への転送が障害されたり、表皮角化細胞のメラノソームの排泄が機能しなかったりすると、表皮からお肌の深部である真皮へメラノソームが滴落します。すると滴落したメラノソームを真皮内のマクロファージ(異物を食べる細胞)が貪食してメラノファージとなります。メラノソームは消化しにくいため長く真皮内に留まることになります。(真皮での色素沈着)
これら「表皮での色素沈着」と「真皮での色素沈着」が、それぞれ、あるいは同時に起こるのです。

「表皮での色素沈着」は、通常は徐々にメラニン色素が皮膚のターンオーバーを通して排泄されて消えていきます。しかしながら、加齢や乾燥肌、慢性的な炎症などでターンオーバーの機能が低下すると局所的に色素が沈着したままになることがあります。
「真皮での色素沈着」は、メラノソームのが消化・排泄されにくい性質ゆえに真皮内で長期間とどまり、場合によっては沈着したままになってしまいます。

ニキビ、擦り傷、やけど、慢性湿疹などで生じた色素沈着をすぐに消し去ることは極めて困難で、時間と根気が必要となります。
それ以上濃くしないための紫外線対策や、ビタミンCの摂取などが求められます。
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<13/04/2022 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>