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口の周りのニキビ と 口囲皮膚炎(酒さ様皮膚炎)

治療の難しいニキビに「口の周りのニキビ」があります。
もちろん塗り薬だけで良くなる人はいいのですが、そうはいかない人が多いのも実情です。
ニキビの原因はいろいろあって個人差が非常に多い印象があります。「口の周りのニキビの原因は〇〇〇」と教科書に書いているわけではありません。しかしながら口の周りのニキビには、ある程度ですが共通の原因があります。
(1)乾燥
口の周りは、目の周りと同様乾燥しがちな部分です。乾燥によって皮脂の排泄が悪くなり、皮脂が毛穴に詰まりやすくなることがニキビ発生の原因となります。またその結果、少なくなった皮膚表面の皮脂ゆえに抗菌作用(皮脂は弱酸性で抗菌作用がある)が弱まり、アクネ菌の増殖を許してしまいます。
(2)胃腸症状
口の周りは口から口腔内、胃腸へとつながり、胃腸症状とリンクすると言われています。食べ過ぎ飲みすぎで口内炎ができたり舌が荒れて痛くなる経験は誰しもあるはずです。胃腸機能が比較的弱い人の中に「胃の調子が悪いと口の周りにニキビが出る」と訴える人が多いです。
(3)便秘
便秘が続くと腸内細菌が乱れて、善玉菌(ビフィズス菌など)が減り悪玉菌(大腸菌など)が増えます。その結果、ビタミンなどの吸収が悪化し肌荒れの原因となりニキビが出やすくなります。またこの悪玉菌が有害な活性酸素を発生しニキビを悪化させるのです。
<解決法は?>
塗り薬で良くなるならそれで十分ですが、良くならない場合上記の原因をわきまえる必要があります。
化粧水や保湿剤でしっかり乾燥を防ぐことと、胃腸症状を整えることです。自分でできることには限界がありますので、口の周りのニキビでお悩みの人は、胃腸機能を高め(健胃)炎症の熱をとる(清熱)ような漢方薬が効果的です。
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口の周りのニキビと似て非なるものとして「口囲皮膚炎」があります。
これは”酒さ様皮膚炎”とほぼ同義語で、口の周りに限局している場合を「口囲皮膚炎」と言います。
顔面の紅潮、毛細血管の拡張、丘疹、小膿疱などからなり”酒さ”と非常に似ていますが、正確には異なります。場合によっては口の周りのニキビとも鑑別が重要です。
これは脂漏性皮膚炎や化粧品などによる接触性皮膚炎に対するステロイド外用薬の長期連用によって起こる場合がほとんどで、”ステロイド皮膚炎”や”ステロイド酒さ”とも呼ばれます。ステロイドだけでなくタクロリムス軟膏(免疫抑制剤の外用剤)でも起こります。
治療は、ステロイド外用の中止ですが、突然の中止でリバウンド現象が起こり皮疹が急速に悪化し、非常に対処が難しいことがよくあります。
ニキビ治療に準じた外用薬、ミノサイクリンなどの抗生物質の内服などが主な治療となりますが、リバウンドによる紅斑や火照り、丘疹、小膿疱の悪化に対して清熱や抗炎症目的に漢方薬が効果的な事もあります。治療は根気と時間が必要になります。
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通院がなかなかできないとのことで「出せるだけ多くの塗り薬を一度に欲しい」と訴える方が多いのですが、漫然とステロイド外用を続けることを避け適宜診察を受けてリスクを回避することをお勧めします。
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<15/03/2021 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>