Vol.62 手湿疹(手荒れ、主婦湿疹)を知ろう その② | 札幌市中央区の皮膚科なら宮の森スキンケア診療室

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お肌の基礎知識

Vol.62 手湿疹(手荒れ、主婦湿疹)を知ろう その②

最近はコロナ禍で手洗いの頻度が増し、また消毒液をつける機会が多くなり手湿疹がひどくなる傾向があります。
加えて季節が秋・冬になると湿度も下がり乾燥しやすくなり、冷気で一層の悪化は避けられません。
手湿疹として出る症状はそれぞれの肌質や体質によってまちまちです。手湿疹の臨床像と治療に関して考えたいと思います。

  • ①再発水泡型手湿疹(汗疱型手湿疹、異汗性湿疹)
    手掌や手指側縁に”小水疱が多発”します。小水疱は激しい炎症を意味し、強い痒みを伴います。収束してくると水泡は乾燥し落屑(らくせつ;皮がむけてくること)します。夏期に多い傾向があるが通年見られ原因は明らかでないことが多い傾向があります。手を使うことによって受けるいろいろな刺激(物理的・化学的刺激)が、手の表皮の角化細胞に直接ダメージを与えて起こります。
  • ②角化型手湿疹
    ”境界のはっきりした厚い鱗屑(りんせつ;厚くなった皮膚が剥がれてきたもの)”が手掌に見られます。亀裂を伴うことがあり、原因は不明なことが多いです。

  • ③進行性指掌角皮症
    指先や指腹が乾燥して荒れ肌となり、時に指紋が見られなくなります。”利き手に好発し”亀裂を伴うことがあります。皮膚バリア機能の低下が悪化の原因となり、繰り返す水仕事や頻繁な手の使用など様々な刺激が誘因となります。最も頻度の高い手湿疹です。

  • ④貨幣状手湿疹
    いわゆる”ジクジクした印象”の手湿疹で、手背や指背に類円形の湿疹が生じたものです。痒みが非常に強い傾向があります。掻いて悪化し感染を起こすことがあります。

  • ⑤乾燥・亀裂型手湿疹
    手掌や手指”全体の乾燥と亀裂”が特徴の慢性手湿疹です。冬期に悪化することが多いです。

治療はステロイド外用剤の使用が基本ですが、乾燥に対してはヘパリン類似物質や尿素系軟膏の併用が効果的で、角化が強い場合はサリチル酸ワセリンが有効です。貨幣状手湿疹などジクジクした湿疹には亜鉛華軟膏が効果的で、亀裂に対しては、亜鉛華軟膏やステロイド含有テープ剤が使用されます。手の皮膚は厚くまた手湿疹は炎症が強い場合が多く、比較的強いランクのステロイド剤が必要になります。
手を使わずに生活することは現実的に困難です。言い換えれば”手を使う以上ある程度は避けられない”のが手湿疹です。「悪化を防ぎ少しでも改善し良い状態を保つ」ことを治療の目標にするのが大切です。