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お肌の基礎知識

vol.46 免疫と皮膚

生物が生きていくうえで、必要不可欠な生体の機能の一つに免疫があります。免疫とは外から侵入した外敵(異物や病原菌・ウイルス等)から身を守るために外敵を排除する機能です。時にこの免疫が正常に機能しないがために起こる皮膚のトラブルがあります。

免疫とは

免疫を理解するには免疫を軍隊に例えるとわかりやすいのです。
軍隊(免疫)は敵(異物や病原菌・ウイルス等)が侵入して来たとの情報を得ると、直ちに兵隊を送り込みます。この兵隊がリンパ球や白血球です。兵隊(リンパ球や白血球)が敵と戦っている間に、軍隊の司令部は敵の情報を分析し、その敵を効果的にやっつけるにふさわしいミサイルを生産します。このミサイルがいわゆる抗体と呼ばれるものです。その後大量にミサイル(抗体)を送り込み一気に敵(異物や病原菌・ウイルス等)を攻略します。このように軍隊(免疫)が敵(異物や病原菌・ウイルス等)と交戦している状態が炎症です。
以上のように軍隊(免疫)が正常に機能していると、平和(恒常性)を維持することができるのです。

免疫が正常に機能しないと

  • 1.免疫機能が低下する場合

    疲労やストレスで免疫機能が低下することが良くあります。ご存知のように、こんな時はウイルスなどに感染し風邪をひきやすくなったりします。
    皮膚では細菌やウイルスの活動を軍隊(免疫)が十分に制圧できなくなり、吹き出物(毛のう炎やニキビ)が出やすくなったり、口唇ヘルペスや帯状疱疹が起こったりします。

  • 2.免疫機能が過剰である場合

    特定の異物に対して起こる過剰な免疫がいわゆるアレルギーです。軍隊(免疫)が、それほど攻撃する必要のない物(たとえば花粉)に対して過剰に攻撃、特にミサイル(抗体)を使った攻撃を激しく行うことで起こります。花粉などに過剰に反応し、鼻粘膜に激しい炎症が起こりクシャミや鼻づまりを起こすのが花粉症です。
    皮膚ではハウスダストや特定の食物や薬物に対する過剰な免疫によるアトピー性皮膚炎や蕁麻疹が代表的です。

  • 3.敵の認識を誤ってしまう場合

    軍隊(免疫)が攻撃するのは、あくまでも敵(異物や病原菌・ウイルス等)のはずです。ところが時に味方(自己)を敵と認識して攻撃してしまうことがあります。これによって引き起こされる全身性の疾患として、リウマチやSLEといった自己免疫疾患(膠原病)がこれに当たります。
    皮膚においては、皮膚組織に対する自己抗体が原因で全身に水疱のできる天疱瘡や類天疱瘡が代表的です。原因はいまだに明確ではありませんが、毛根に対する自己抗体が関与しているのではといわれている円形脱毛症や色素細胞(メラノサイト)に対する自己抗体によるといわれている尋常性白斑などがあります。

免疫を正常に機能させるには

先に述べた様々な免疫の機能異常を、確実に正常化する方法はいまだに存在しません。中には遺伝的なものもあり解決にはまだまだ研究が必要と思われます。「疲労やストレスを貯めずに、バランスよく食事をし、適度な運動をすること」が、免疫を含めた自身の機能を正常に維持する最も確実な方法であることは間違いありません。ただこれが最も難しい、というのも間違いありません。