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お肌の基礎知識

vol.39 多汗症

汗をかくという現象は、体温調節や血圧調節のために重要な生命維持活動のひとつです。しかしながら、日常生活に支障を来たすほど、必要以上に汗をかく状態を多汗症といいます。

原因は

  • 1.自律神経性多汗症
    通常はそれほど汗が多いわけでなく、緊張するなどして汗が多く出る状態です。精神活動性多汗症とも言われます。
  • 2.候性多汗症
    背景となる疾患が存在し、症状の一つとして見られる多汗症です。代表的なものに、更年期障害においてエストロゲンの減少に起因する多汗症、甲状腺機能亢進症に伴い基礎代謝が高まることから来る多汗症、副腎腫瘍(褐色細胞腫)や糖尿病に伴う多汗症などが挙げられます。
  • 3.特発性多汗症
    上記の多汗症以外で、原因が不明の多汗症です。

おこりやすい部位

全身性の多汗症と局所性の多汗症に分けられますが、局所性のものは、ワキ、手のひらや足の裏によく見られます。中でも手のひらや足の裏に見られるものを掌蹠多汗症(しょうせきたかんしょう)と言います。

治療は

症候性多汗症の場合は、原因となっている疾患の治療が優先されます。更年期に入った女性の方で、急に汗が多くなった場合は更年期障害の可能性を、動悸がしたり甲状腺の腫れを自覚する多汗の人は甲状腺機能亢進症などの可能性を考えて、かかりつけの医師に相談してみるとよいでしょう。
症候性多汗症以外の多汗症は、程度が軽ければ市販の制汗剤である程度防げます。しかしながらあまり有効ではない場合、塩化アルミニウムの外用が効果的なことがあります。自律神経性多汗症は、緊張すると汗が多く出ることから、緊張を緩和する目的で精神安定剤や気分を和らげる漢方薬などが効果的なことがあります。
東洋医学的に多汗症を考えると、本来は尿として排泄されるはずの水分が体内に滞り、ワキや手のひら・足の裏から余計な汗として排泄されてると考えられ、これを漢方用語で水毒(すいどく)の状態と見ることができます。実際多汗症の人で、尿の量が少なく下肢のむくみを訴える人が意外と多くいます。この場合水毒を取り除く漢方薬が効果を発揮することがあります。
その他、麻酔科で行う交感神経切除術によって、汗をかく神経をブロックする方法もあります。しかしながらリスクもあるため十分な適応の検討が必要です。
「多汗症の治療はこれ!」といった画期的な治療がないのが現実ですが、以上のように、原因と症状に応じての治療は可能です。どんな治療が自分に必要なのか、あなたのお肌の主治医とよく相談してみて下さい。