胸にできたニキビのあとが赤く硬くなって隆起している。膝の傷あとが盛り上がりいつまでも消えない。帝王切開の手術痕が赤く隆起し、痒かったり痛かったりする。これらは一般にケロイドと呼ばれます。これらケロイドは真性ケロイドと肥厚性瘢痕に分けられます。ニキビや注射などの些細な傷が原因で、胸や肩などに出現し、時として進行性に拡大するものを真性ケロイドといいます。手術やケガの痕など長期にわたって赤く盛り上がるが、拡大傾向は弱く消退傾向を認めるものを肥厚性瘢痕といいます。
何故できる?
- 1.体質
傷が目立ちやすくなりやすい遺伝的素因や体質は存在します。特に真性ケロイ ドは大いに関係あります。 - 2.物理的な力(傷にかかる張力)
例えば肘にある傷は、肘が曲がれば傷が引き伸ばされるように張力を受けます。同様なことが膝や肩でも起こります。呼吸すると胸やお腹は膨らみます。このため胸やお腹にある傷は、呼吸するたびに左右に張力を受けます。また女性の場合、乳房の重みが、胸にある傷に対して張力として働きます。このような物理的な力が持続的に作用するとケロイドができやすくなります。つまり、傷や手術創は、持続的に物理的な力が働くと、その力に負けまいと傷は太く丈夫になるのです。
治療は?
単に切除してしまえば解決しそうですが、そうはいきません。特に真性ケロイドの場合、安易に切除するとかえって悪化することがよくあります。ではどうしたら・・・
- 1.テープによる傷の固定
傷を覆い隠すように広くテープを貼ると、傷は固定され張力を受けなくなります。 - 2.スポンジやサポーターなどによる圧迫
圧迫によって、血液のめぐりが悪くなりケロイドが消退するといわれています 。 - 3.ステロイドのケロイド内注射
ステロイドの作用で炎症を抑え、ケロイドの活動性を収束させます。 - 4.内服薬
ケロイドの赤みを消退させ、柔らかくする作用のある内服薬があります。 - 4.切除
真性ケロイドは安易に切除できませんが、肥厚性瘢痕の場合、上記の1.2.3.4などの方法である程度改善した後に切除することは可能です。しかし、再発しないように縫合の仕方を工夫するなどの配慮は必要になります。