皮膚の表皮は、角化細胞が分裂し、さらに分化(角化)することで表皮の厚さを一定に保ち、外界とのバリア機能を担っています。表皮が厚くなりすぎたり薄くなりすぎたりすると、バリア機能が損なわれます。また皮膚が老化すると表皮が増殖し厚くなることが分かっています。
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自己複製能と様々な細胞に分化する能力(多分化能)を持つ特殊な細胞を幹細胞と言います。表皮にも幹細胞が存在します。表皮の幹細胞には現在わかっているところでは、「17型コラーゲンを多く産生する優れた幹細胞」と「17型コラーゲンをあまり作り出せない幹細胞」が存在します。これらの幹細胞は表皮の角化細胞となり、角化して表皮を作り出します。これら優れた幹細胞とそうでない幹細胞がうまく共存しているうちは、角化が調和のとれたものとなり適度な一定の表皮の厚さを維持しています。しかしながら、老化とともに17型コラーゲンを多く産生する優れた幹細胞が脱落し少なくなり、結果的にそうでない幹細胞が優勢になることで表皮が増殖し厚くなってしまうのです。このことは2017年に北海道大学が報告しています。
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東京医科歯科大のグループが、マウスの遺伝子操作実験を行い、人為的に17型コラーゲンを生み出す遺伝子の働きを高め皮膚の老化を抑えることに成功し、さらに表皮の傷ついた部分に薬剤を投与してこの遺伝子の働きを高めると表皮の再生を促進できたことを報告しました。英国の科学誌ナイチャー電子版に発表したとのことです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190404-00000000-jij-sctch
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皮膚の老化を回避し若い皮膚を維持することが可能になるといいですね。
さらなる研究を期待します。
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<07/04/2019 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>