「アレルギーマーチ」とは、一つのアレルギー疾患の発症を契機に、一連のアレルギー疾患を次々と発症していくことです。1980年代にこの概念が提唱されました。
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食物アレルギーが、アレルギーマーチのうち最初に認められ、アトピー性皮膚炎を伴った形で発症してくるケースがほとんどで、その後気管支喘息、アレルギー性鼻炎を発症していくと言われています。
しかし最近の研究では、”アレルギーマーチの始まりは、乳児期の湿疹であり、バリア機能が破綻した湿疹病変から外来抗原が感作され、食物アレルギーや気道アレルギーの一部を発症するのでは”と考えられるようになりました。
この経皮感作から食物アレルギーを発症する事例は、加水分解コムギ配合の洗顔石鹸(茶のしずく石鹸)を使用した人に発症した小麦アレルギーが記憶に新しいと思います。
乳幼児期の湿疹からアレルギーマーチが始まるとの認識が深まると同時に、乳幼児期からのスキンケアの重要性が提唱されてきています。
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2014年に、生後間もないころからの保湿剤を用いたスキンケアの実践によりバリア機能を補強することで、8か月後のアトピー性皮膚炎の発症を3割減らすことが出来たとの報告があります。これは、アトピー性皮膚炎の発症因子として皮膚のバリア機能異常が大きいことを裏付けていると思われます。
2008年にイギリスの研究者が、食物抗原の経口摂取では特定の食物に感作が生じるものではなく、湿疹などでバリア機能が障害された皮膚からの経皮暴露こそが食物抗原の感作を起こさせる、と主張しています。つまり、バリア機能を正常化に近づけるようなスキンケアを徹底すると、食物抗原に対する感作を少なくすることが可能で、そこから始まるアレルギーマーチを抑制できるのでは、という理論です。
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前置きが長くなりましたが、乳幼児期の保湿剤を使用したスキンケアの実践は、特にアレルギー素因を持っていたり(家系的にアレルギー歴があるなど)、敏感肌でトラブルを起こしやすい場合は、アレルギーマーチを予防する点において特に重要であると言えます。
ただここで疑問なのですが、食物アレルギーの経皮感作が成立することに関して、バリア機能が低下した湿疹に食べ物が付着する事って実際どの程度あるのでしょうか。体に食べ物を塗ることは通常あり得ませんし、口の周りに湿疹があれば、特に離乳食の時期の乳幼児の場合、食べこぼしなどで汚れる可能性はあります。これが感作の原因となるならば、スキンケアも重要ですが、口の周りなどに食べ物が付着しない工夫の方が大切な気がしますが。。。
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<04/03/2018 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>
アレルギーマーチとスキンケアの重要性、と少しの疑問 (皮膚科情報)