平成29年7月26日、札幌市保健所にて医療関係者向けの「ダニ媒介感染症セミナー」が開催されました。
簡単に内容を報告します。
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①マダニとダニの混同:マダニとダニの違いが周知されていない。マダニとダニは違う生物である。マダニは体長2~3ミリ以上(見える)(ヤマトダニ、シュルツェマダニ)。ダニは0.2~0.4ミリ(見えない)(ヒゼンダニ、イエダニ)。
②マダニ媒介感染症には、ライム病・回帰熱・ダニ媒介脳炎・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・日本紅斑熱・野兎病・Q熱などがあるが、北海道で発症が確認されているのは、ライム病・回帰熱・ダニ媒介脳炎。ちなみに2016年度の発生報告例は、ライム病・回帰熱がそれぞれ5例、ダニ媒介脳炎が1例。しかしながら報告されていない場合もあるため実際にはもっと多い可能性がある。
③ライム病と回帰熱は、スピロヘータ科ボレリア属感染症である。2010年から2016年までの7年間で、道内発生報告は、ライム病が33例、回帰熱が11例。
④ライム病:シュルツェマダニ(北海道などの寒冷地に生息)が媒介する。潜伏期は1~3週間。初期は発熱・頭痛等インフルエンザ様症状。進行すると顔面神経麻痺など神経症状、髄膜炎や関節炎が出現する。
治療は抗生物質(有効性が確認されているもの)。
⑤回帰熱:シュルツェマダニが媒介する。潜伏期は約2週間。初期はインフルエンザ様症状。発熱期(3~7日)と無熱期(5~7日)を繰り返す。進行すると髄膜炎、肝炎、肺炎などを来す。治療は抗生物質(有効性が確認されているもの)。
⑥ダニ媒介脳炎:ヤマトダニが媒介する。潜伏期は1~2週間。フラビウイルスが原因。発熱、頭痛、筋肉痛等が発症し、髄膜脳炎から死亡する場合もある。国内では3例発生し、いずれも北海道。1993年、2016年、2017年に発生。うち2例は死亡。最近急に注目されたが、今まで認知度が低く見過ごされていた可能性が高く、以前から存在していたと考えるべき。死亡率は20~30%と推定されている。有効な治療は確立されていない。不活化ワクチンが存在する。
⑦重症熱性血小板減少症候群(SFTS):潜伏期は6日~2週間。ウイルスが原因。発熱と消化器症状が主体。血小板と白血球が減少する。致死率が高い(6~30%)。有効な治療は確立されていない。北海道では報告なし。最近、このウイルスに感染した猫に咬まれて発症し死亡した例が報道された。
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以上。専門的すぎる内容は割愛しました。
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厚生労働省の注意喚起ポスター
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ダニに注意してくださいリーフレット(厚生労働省)。ここをクリック。
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<26/07/2017 札幌市 中央区 皮膚科 宮の森スキンケア診療室>
札幌市保健所開催「ダニ媒介感染症セミナー」報告 (皮膚科情報)